2017年7月習志野駐屯地第1空挺団の空挺館見学・その2
空挺館の二階
その1に引き続き、空挺館の二階へ・・・
階段の踊り場に第1空挺団の標語「精鋭無比」の額が飾られています。
「精鋭無比」の意味については、このページの後半でご説明します。
空挺館二階への階段
旧陸軍の騎兵連隊の御馬見所について
ご存じの方は多いと思いますが、そもそも空挺館の建物は明治時代に旧陸軍の騎兵連隊の御馬見所(ごばけんじょ、ごばみどころ)として、天皇陛下や皇族の方々が馬術のご見学や式典を総覧される施設で、当初は目黒に建てられました。
千葉県の習志野に移設されたのは大正時代です。
終戦後は米軍第1騎兵師団に摂取されて司令官用の宿舎にされていたとか・・・連合国軍最高司令官マッカーサーもここに来たことあるのでしょうか?
三笠宮殿下は昭和12年10月に旧陸軍騎兵第15連隊少尉(同年12月に中尉)のとき通信学生として習志野の陸軍騎兵学校に来られていたそうです。
三笠宮殿下と習志野
当時、三笠宮殿下が使用されたのと同じ通信機器だそうです。
三笠宮殿下が使用されたのと同じ通信機器
空挺館・三笠宮殿下が宿泊されていた部屋の天井模様
三笠宮殿下が宿泊されていたお部屋の天井には画像の模様の装飾が施されたそうです。
空挺館の2階廊下
臨幸のための御立ち所の菊の紋章について
臨幸のための御立ち所
この御立ち所から明治天皇、皇族の方々が馬術をご覧になられたのですね。
菊の紋章が窓下の4か所に有りますが、、、
16弁の菊の紋章は天皇家のみの紋章で、16弁の菊の紋章だけの部屋(場所)には皇族の方々は入れず、後ろの通路の所からしかご覧になることができないそうです。
そこで、明治天皇は他の皇族も一緒にご見学ができるようにとのご配慮で15弁の菊の紋章も付けられたそうです。
撮影した写真で花びらの数を数えてみました。。。
画像の右側から2番目の菊の紋章だけが15弁の菊の紋章で、他は全て「十六八重表菊」でした。
皇族の菊の紋章について調べてみたら、宮家によって菊の御紋の花びらの枚数がそれぞれ違うことを始めて知りましたよ。
16弁の「十六八重表菊」は天皇、皇太子、皇太孫とその配偶者のみ。
14弁の菊の御紋は「十四八重表菊」と言って、上記以外の皇族の方が使用されます。
しかしながら、15弁というのは無いようですね。。。
明治天皇が15弁としたのは、どの皇族の方でもどうぞという意味合いが込められていたと推察致しました。
習志野原の地名にまつわる資料
習志野原の地名にまつわる資料
習志野という地名の由来は幾つかの説があるそうですが、、、
昔はこの辺り一帯は草原のような場所で、馬術の訓練に使用されていたそうです。
明治6年に近衛兵対抗演習ををご覧になられていた明治天皇が陸軍大将・近衛都督の西郷隆盛に演習で見事な指揮を執っていた指揮官の名前をお尋ねになられ、篠原国幹少将であることがお分かりになられました。
そこで、「篠原に習え」とお言葉を発せられたのが習志野の地名の由来とか…???
出典: 第1空挺団のパンフレット13ページ
旧陸軍空挺隊の展示資料について
義烈空挺隊の展示資料
義烈空挺隊は太平洋戦争でサイパン、硫黄島、沖縄戦で勇敢に戦って戦果を挙げた旧陸軍の空挺隊です。
軍馬用のガスマスク
この軍馬用のガスマスク、馬に被せるのにきっと大変な作業だったことと思います。
旧陸軍空挺隊の展示資料
空挺隊の様々な資料が展示されています。
旧陸軍に限らず、旧海軍の空挺隊の資料も展示されています。
ドクロの小隊旗と長谷部正義少尉について
挺身赴難
画像の「挺身赴難」と書かれた掛け軸の右下にドクロが描かれた寄せ書きの旗があります。
これは、昭和17年2月のインドネシア・スマトラ島「バレンバン降下作戦」での中尾隊の小隊長、長谷部正義少尉が出撃前夜に小隊員39名と共に寄せ書きをした「小隊旗」だそうです。
長谷部正義少尉は「もろともに死なんと集ふつはものはどくろの朽つまで務め盡すと」と言う名言をお残しになられています。
戦死して骨になっても任務が遂行できていないなら、ドクロが動いてでも任務を遂行するという意気込みで臨まれた戦いでありました。
長谷部少尉はこの作戦で果敢に戦うも戦死されてしまったそうですが、この精神を第1空挺団が引き継いでいます。
そこで、第1空挺団ではドクロマークも使用しているそうです。
第1空挺団の部隊章
※長谷部正義少尉のご縁戚様から当サイトにご連絡を頂き、長谷部正義中尉になられております。この場でも、ご連絡をお寄せ頂きましたご縁戚様に御礼申し上げます。
第1空挺団の「挺身赴難」と「精鋭無比」について
第1空挺団のパンフレットの「空挺のあゆみ」では、昭和33年に「挺身赴難」の伝統を受け継ぎ、「精鋭無比」を目標とした第1空挺団が編成されたと記載されています。
この「挺身赴難」は旧日本軍の空挺のモットーを表す標語です。
その字のとおり、「身を挺して困難に立ち向かう」という精神を表しています。
そのためには、「他に比べようのない精鋭にならなければならない」という目標を挙げています。
ですから、「精鋭無比」は第1空挺団の標語として有名ですが、他に比べようもない精鋭であるという解釈は間違いです。
また、「挺身赴難」も「精鋭無比」と並んで重要な標語であるとのことです。
ちなみに、「精鋭無比」の標語ですが、、、
自衛隊関連のオリジナルTシャツやグッズを販売している株式会社ムコクリエイトという会社が「商標登録」してます。
各地の駐屯地内売店や各部隊の商品製作もされている会社さんです。
勝手に自分でTシャツ等に「精鋭無比」をプリントして販売すると、株式会社ムコクリエイトさんの商標登録に引っ掛かっちゃいますよ!
ご参考: 株式会社ムコクリエイトさんの自衛隊グッズ.jp から入手した「速乾Tシャツ」とマウスパッドです。
自衛隊グッズ.jp ショップ
背中側に「精鋭無比」がプリントされている速乾Tシャツ/迷彩
「AIRBORNE RANGER」速乾Tシャツ/迷彩
空挺精神のマウスパッド
マウスパッドの右側に「精鋭無比」の角印が押されているデザインです。
マウスパッドはボロボロになると悲しいので2枚購入(笑)
ご存じの方は多いと思いますが、商標は45種類の商品や役務(サービス)区分に分けられています。
例えば、区分の25類は「被服,服飾小物,履物 他」とか・・・
商標の出願時に、押さえておきたい商品が多種類ある場合、該当する区分を複数申請することができます。
審査後、無事に商標登録されると当該区分の商品や役務は権利を得た人(会社)しか使えませんです。
脱線しましたが、、、
空挺館での配布資料
空挺館での配布資料
空挺館の入り口付近に広報室で作成されたこれらの配布資料があります。
旧陸軍の空挺隊に関わる内容が記載されています。
今回の習志野駐屯地空挺館の展示品等をご説明して下さいました空挺館長のYさんです。
空挺館のご説明を親切、丁寧にして頂き、ありがとうございました。
今年4月の桜まつりの空挺団ポスターに描かれた女子隊員キャラクターです。
男子隊員のキャラクターも描かれていました。
特に版権等(複写権と考えられますが)の無いキャラと言う話を空挺館で聞きましたので、掲載させて頂きました。
(でも、掲載の確認はちゃんとしましたよ。)
名前は特にないそうですが、女子キャラは可愛いですね!
ちなみに、男子キャラは凛々しいですよ!
またの登場を楽しみにしたいところです。
2018年3月第1空挺団の空挺館見学・その3とその4を追加しました。
こちらのページでは、太平洋戦争開戦後の昭和17年2月に実施された日本陸軍初の空挺作戦(インドネシア・スマトラ島「バレンバン降下作戦」)に参加された中尾隊の小隊長、長谷部正義少尉殿(階級特進後中尉)のご縁戚の方とご一緒に訪問したときの記事になります。
ご縁戚の方のご暑意により長谷部正義中尉の写真も掲載しています。
2018年1月12日陸上自衛隊「第1空挺団 降下訓練始め」・その1
2018年1月12日陸上自衛隊「第1空挺団 降下訓練始め」・その2
関連ページ
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