2018年3月第1空挺団の空挺館見学・その3

 

2018年3月、陸上自衛隊習志野駐屯地内の空挺館を再度見学致しました。

 

空挺館見学は2回目となります。

 

今回は、太平洋戦争開戦後の昭和17年2月に実施された日本陸軍初の空挺作戦(インドネシア・スマトラ島「バレンバン降下作戦」)に参加された中尾隊の小隊長、長谷部正義少尉殿(階級特進後中尉)のご縁戚の方が習志野駐屯地第1空挺団の広報室に空挺館の訪問を申し込みされたとのご連絡を頂き、ご同行させてもらうことになりました。

 

そこで、前回2017年7月のブログ内容を補足する形で空挺館の見学内容を掲載致します。

 

2度目の見学となると、空挺館長さんのご説明も理解度がグッとアップしました!!

 

空挺館の建物について

先ずは前回、写真を撮り忘れてしまった(苦笑)空挺館の写真をしっかりと撮りました(喜)。

 

陸上自衛隊習志野駐屯地内の空挺館

 

空挺館の看板・明治天皇の御馬見所
陸上自衛隊習志野駐屯地内の空挺館

 

明治44年に明治天皇と皇族の方々が旧陸軍騎兵連隊の馬術訓練の視察されたときの御馬見所として目黒に建てられました。

 

「空挺館(旧御馬見所)の概要」
 明治44年(1911年)に東京目黒区駒場に所在した旧陸軍騎兵実施学校の学生終業式における臨幸のための建物として、また、 高官並びに外国貴賓接客用の施設として使用されていました。大正5年(1916年)、旧陸軍騎兵実施学校の習志野への移転に伴い、 御馬見所も習志野へ移設されました。
 現在では「空挺館」と名を改め、隊員の教育、伝統の継承などのため、空挺(落下傘部隊)に 関わる貴重な資料などを展示している資料館となっています。

出典: 陸上自衛隊第1空挺団イベントから引用(原文ママ)

 

↑前回のをそのまま使いまわししています(笑)。

 

ようこそ、習志野駐屯地「空挺館」へ

 

で、下の目黒に建てられていたときの御馬見所と現在の空挺館の外観の違いがお分かりになりますでしょうか???

 

目黒に建てられていたときの御馬見所

 

エントランスの形状が違っています。。。

 

目黒から習志野の現在位置には、この建物を分解して運び建て直したそうですが、、、

 

エントランスに有った6本の柱が、現在は違います。

 

これは、大正5年の移転時に柱が重くて運搬できなかったそうです。。。

 

そこで、建て直しのときに別形状になったそうです。

 

その後、新たに運搬等の予算計上されて当初の柱は習志野に運ばれたそうですが、この建物ではなく他に使用されたそうです。。。

 

精鋭無比と挺身赴難

第1空挺団の標語「精鋭無比」の額とモットーの「挺身赴難」の掛け軸の写真を撮り直しました。
空挺館の階段の踊り場にある第1空挺団の標語「精鋭無比」の額

 

 

↑ここの記載内容がズッポリと抜けてしまってました。。。2018年4月11に加筆修正しています。

 

これらの標語は陸上自衛隊の第1空挺団が大切にされている理念です。

 

第1空挺団のパンフレットの「空挺のあゆみ」では、昭和33年に「挺身赴難」の伝統を受け継ぎ、「精鋭無比」を目標とした第1空挺団が編成されたと記載されています。
この「挺身赴難」は旧日本軍の空挺のモットーを表す言葉です。
その字のとおり、「身を挺して困難に立ち向かう」という精神を表しています。
そのためには、「他に比べようのない精鋭にならなければならない」という目標を挙げています。
「精鋭無比」は第1空挺団の標語として有名ですが、他に比べようもない精鋭部隊であるという解釈は間違いになります。

 

旧日本軍空挺部隊と空挺作戦

空挺館の旧日本軍空挺部隊と空挺作戦説明文

 

空挺館の旧日本軍空挺部隊と空挺作戦説明文では、次の10空挺作戦について説明がなされています。

 

①メナド降下作戦 昭和17年1月11日(旧海軍・横須賀鎮守府第1特別陸戦隊)
②バレンバン降下作戦 昭和17年2月20日(旧陸軍・挺進第2聯隊)
③クーバン降下作戦 昭和17年4月29日(旧海軍・横須賀鎮守府第3特別陸戦隊)
④ラシオ空挺作戦 昭和17年4月29日(旧陸軍・第1挺進聯隊)
⑤ベナベナ・ハーゲン空挺作戦 昭和18年7月(旧陸軍・第1挺進団)
⑥義号(ブラウェン強襲)作戦 昭和19年11月22日(旧陸軍・薫空挺隊))
⑦テ号(レイテ空挺)作戦 昭和19年12月6日~(旧陸軍・第2挺進団)
⑧義号(沖縄空挺)作戦 昭和20年5月24日(旧陸軍・義烈空挺隊)
⑨烈(沖縄特攻)作戦 昭和20年8月(旧陸軍・第1挺進団混成)
⑩剣作戦<終戦により中止> 昭和20年8月(旧陸軍・呉鎮守府第101特別陸戦隊、旧陸軍挺進第1聯隊2個中隊)

 

ご存じのように旧陸軍と旧海軍があったわけですが、、、陸軍と海軍のそれぞれの空挺部隊、、、落下傘や装備は全く別々に調達していたとか、、、

 

第一空挺団の年間スケジュール

第一空挺団の年間スケジュールの説明

 

第1空挺団の日常の演習の他に実施される大きな演習やイベントの写真が展示されています。

 

1月  降下訓練始め
1月  北方空挺演習(帯広市鹿追町)
5月  義烈空挺慰霊祭(沖縄県)
6月  空挺団演習(岩手県)
8月  駐屯地夏祭り
8月  水上降下訓練(千葉県保田海岸)
9月  全日本空挺同志会主催 高野山慰霊祭(和歌山県)
9月  空挺団演習(東富士演習場)
11月 西方空挺演習(日出生台演習場)

 

この他に報道では、米軍との合同演習があるようです。

 

空挺館では災害派遣やPKOなどの展示もされています。
これらは2017年7月第1空挺団の空挺館見学・その1でご紹介しています。
2017年7月第1空挺団の空挺館見学・その1

 

基本空挺降下課程について

空挺傘の7解傘索説明
空挺傘の7解傘索説明

 

空挺隊員に必要な知識の「降下の心構え」と技能を養う教育課程、、、

 

第1空挺団パンフレット9ページ精強な隊員の育成
出典: 陸上自衛隊第1空挺団パンフレットP9

 

第1空挺団パンフレットでは、
・模擬扉訓練
・着地訓練
・懸吊着地訓練
・空挺傘の操縦訓練
・高さ11mからの跳出塔訓練
・高さ83mからの降下塔訓練
  で段階的に技能と体力や気力の工場を図り、
・最終的に実航空機から5回の降下

 

最初の地上訓練では、座った姿勢からの着地訓練、立っての着地訓練、台の上からの着地訓練とケガをしない安全な着地(体の各部を上手く利用した5点着地)をみっちりと指導されるそうです。
着地までは移動手段で、空挺隊員は着地してからが戦いの本番!!
ですから空挺降下でケガをしてはいけないのです。。。

 

無事に5週間の基本空挺降下課程を終了すると、
空挺徽章のレプリカ
空挺徽章のレプリカ
空挺き章と空挺隊員の道が!!

 

幹部と陸曹を対象とした8週間の「降下長課程」なるものも記載されています。

 

第1空挺団パンフレット10ページ空挺団の各種教育
出典: 陸上自衛隊第1空挺団パンフレットP10

 

自由降下課程について

自由降下の訓練生コスチューム
自由降下の訓練生オレンジ色コスチューム

 

20回の自由降下演習をやるそうです。

 

天候次第で訓練予定がずれてしまうこともあるそうです。

 

自由降下装備のディスプレー

 

空挺館長のご説明で予備傘の他に隊員が自由降下中に気絶しても降下時間のタイマーのようなもので自動的に自由降下傘が開く仕掛けを付けていることが分かりました。

 

また、空挺降下の心構えとして「危険である」という意識を常に持つことが重要であることもご説明の中でありました。

 

レンジャー課程の説明

レンジャー課程の訓練時装備のディスプレー
レンジャー課程の訓練時装備のディスプレー

 

第1空挺団では陸曹以上の階級で必須の訓練課程になるそうです。

 

幹部10週間、陸曹8週間の過酷な訓練だそうです。。。

 

もうフラフラになり「1+1」も分からなくなる位の体力、精神力の消耗を体験するそうです。

 

それで戦えるのか? なのですが…???

 

この訓練課程の意義は指揮官としての訓練でもあり、、肉体的、精神的な極限状態を体験することで、困難な状況下の実戦で部下がこんな酷い状況にならないように(こんな思いをさせないように)、過酷な任務を確実に遂行できる指揮官の能力や考え方を養うことも目的にあるそうです。。

 

なるほどです。。。

 

第1空挺団レンジャー課程の旗
第1空挺団レンジャー課程の旗

 

この旗には、ドクロマークが描かれています。

 

ドクロマークは第1空挺団の一部の部隊章にも使用されていますが、その意は「海賊のように」ではありません。

 

今回の見学の目的である旧陸軍長谷部少尉が残された「小隊旗」と「もろともに死なんと集ふつはものはどくろの朽つまで務め盡すと」と言う名言に由来しています。

 

「戦死して骨になっても任務が遂行できていないなら、ドクロが動いてでも任務を遂行するという意気込み」を表しています。

 

こちらの内容については、2018年3月第1空挺団の空挺館見学・その4に改めて撮り直した画像付きで記載致します。

 

また、こちらのブログでも掲載しています。
2017年7月第1空挺団の空挺館見学・その2

 

空挺レンジャー課程の説明写真
空挺レンジャー課程の説明写真

 

空挺レンジャー課程時の装備・図嚢入組品の水中コンパスとカムフラージュのドウラン
空挺レンジャー課程時の装備・図嚢入組品の水中コンパスとカムフラージュのドウラン

 

図嚢(ずのう)とは、地図を入れたりする革製かばんのことです。

 

陸上自衛隊のミリメシ・缶飯
陸上自衛隊の缶飯

 

食料は2人一組で分担するそうです。

 

写真で積みあがっている3缶が一食分だそうですが、状況次第では2人で分け合って食べるそうです。

 

または数日に分けてとか、とにかく状況次第での食料です。

 

食べられるものを採取、捕獲しては、捌いて食べる訓練も…

 

陸上自衛隊のミリメシ・戦闘糧食Ⅱ型
陸上自衛隊の戦闘糧食Ⅱ型

 

飲料水の確保も重要ですが、、、今回伺ったお話では例えば川の上流に何があるのか、何をやっているのかが安全な飲料水確保にとても重要だそうです。

 

陸上自衛隊の爆破セットと生存セット・医療セット
陸上自衛隊の爆破セットと生存セット・医療セット

 

自衛隊さんの官給品の医療セット、なんか心細い気がします。

 

いざ実戦で命張る自衛官さん達にこんな物で良いのか!?って感じですよ、、、

 

国会議員さん! 予算や装備重量の問題もあるのでしょうが、負傷した自衛官の応急処置もよく考えた装備に改善しないとダメですよ!!

 

空挺レンジャー課程時の爆薬パック
空挺レンジャー課程時の爆薬パック

 

空挺レンジャー課程での目標物爆破は導火線を使用するとのことでした。

 

これは意外でした。。。

 

海外の映画とかではC4爆薬にケーブルを付けてトリッガーをクリックや時限装置で起爆さるのをよく見ますが、導火線2本を付けて爆破するそうです。

 

これは、より短時間で爆薬設置し確実に爆破するための方法になります。

 

導火線に火を付けて、さっさと設置、避難、、、設置後負傷・戦死しても確実に爆破、、、、、背筋が凍る思いです。。。

 

自衛官さん達は有事の際、国防のため体を張って出動する訳です。。。

 

国防のための抑止力として備えが必要な国際社会ですが、絶対に戦争は起きて欲しくはないです。。。

 

続きは、、、
2018年3月第1空挺団の空挺館見学・その4

 

その1とその2は、、、
2017年7月第1空挺団の空挺館見学・その1

 

2017年7月第1空挺団の空挺館見学・その2

 

 

 
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